現像、プリセット、苦悩

被写体さんに被写体さんってどうやって探すの?と聞いたりして迷走してる私です。こんにちは。

先日撮影の時に、「写真納品が他の人と比べて異常に早いんですが、どうやってるんですか」と被写体さんに聞かれたので、その時説明したことを残していこうかなと思いまする。

結論から言うと「プリセットを作ってます」です。めっちゃ簡単な話がインスタのフィルターみたいなワンクリックで思った色味や雰囲気になるモノを作っていますと言う超安直な答えになります。多くのカメラマンがこのプリセットを他人から購入、または自分で作って使用しているはずなので、その条件は同じかなーと思っています。(カメラマン友達いないので知らないですが涙)

ここで終わるとそれだけなんで、じゃぁプリセットってどう作るの?と言う話になるのですが、LightroomやC1という現像ソフトがあります。これで各所の数値を変更することで写真の色味や雰囲気にアプローチしていきます。

同じソフトを使えば同じ色味になるの?と思われるかもしれませんが、この現像パラメーターは、Lightroomを基準に考えても操作できる部分は無限です。現像した色の上からさらに色を足したり引いたり、粒子を乗せたり、現像したことない人がこのLightroomを見て極めていくとすると頭禿げる可能性すらある、とんでもなく奥深い知識とスキルが必要とされます。

知識の差に濃度はあれ、みんなこういう現像ソフトを使う訳なんですが、たまにカメラマンの人でも現像難民になることがあります。それもそのはず前述したように、写真を無限に変化できるので、明確なゴールや知識のない人が触ると写真がどんどん破綻していったり、そもそも狙っている色味にならない場合が多数です。

じゃぁプリセット買ってしまったら好きな写真家さんの色味になるし、楽よね!となりそうですが、そうは問屋が卸さない状態です。

まず、カメラが書き出す写真データというのは、カメラメーカー・機種・センサーサイズ・エンジン・レンズ・フィルター・環境・緯度経度など物理的なことや地理的なことでも作用し同一なものは存在しないです。天候もそうですし、僕らなんかでいうと被写体さんの肌によっても違いが出るだけです。

プリセットは決まったパラメーターをその写真データを考慮せずに一律で動かします。そうすればどうなるかわかりますよね。買ったプリセットはその写真家さんのカメラやレンズなどが完全にマッチしないと効果を100%で発揮しないわけです。もちろんメーカーや機種が違っても赤色は赤色です。でも同じ赤ではないんですよね。それが少しのズレであっても、ズレが全体に誘うして全く別の色味になったりもします。概ね似たような色味になるんですが、色は不思議なもので少しの変化で好きな色から嫌いな色へと変わるものです。

逆に自分で作る方なんですが、どうやってるの?と聞かれたら、「写真データから作る」が僕の方法です。長くやっているので、カメラやレンズめちゃくちゃ置き換わっています。なので、昔使っていたプリセットは全部ゴミになっています。

今自分で一番だと思えるレンズやカメラを決めてしまって、それでまずテストを繰り返します。被写体さんにお願いすることもありますし、自分をとりあえず三脚立てて撮ることもあります。天候は晴れや曇り、室内、室外でいろんなパターンをできるだけ多く撮って、どの場面でも高いポテンシャルが出るように調整を繰り返します。時には天候や室内室外でプリセットを個別に作ることも割り切って必要かと思います。

僕の場合は、1つのプリセットを全環境で使えるように、外と中でカメラ別のものにすることに決めました。レンズもそうですね。色々散財して選んで選んだレンズを数本だけ使い続けることにしています。要するに写真の色味が安定しない要素である機材だけは変更しないようにしています。新しいカメラが出た!新しいレンズが出た!にはあまり興味ないのはそのせいですね。

今の自分のプリセットはもうどれだけだろう・・・何百時間では収まらない気がしますが、膨大な時間をかけて過去の写真やテストを繰り返して調整したものです。色味や質感へのこだわりとレンズの特性からくる不安定さを留めるのに想像を絶する時間がかかりました。室内のエロ系のプリセットも最近完成しましたが、寝る間も惜しんで調整しまくった記憶があります。

もしかしたら、たくさん買ってどれかはいい感じに現像できるよねという考えも全然ありだと思います。自分で作るのとか正直いえば非生産的です。時間も金も吹き飛びます。

作る理由は2つ。自己の表現に必要だからです。僕の好きな色味、雰囲気、質感、言うなれば僕の世界のためには必ず僕がコントロールして満足のいくものが必要になるからです。もう1つが被写体さんへの感謝です。その世界に対して人生の貴重な時間を割いてくださるので、こっちも満足がいったと言えるぐらい頑張らないといけないよなぁ・・・という感じです。

文字にしちゃうと陳腐なんですが、この写真の現像・プリセットって本当に悩みの種子なんですよね。ここがうまくいかないからカメラを変えて、レンズを変えて、お金も時間も浪費していく。僕がおすすめするのが、写真家さんでガチで好きな写真を撮っていてプリセットを販売しているなら、その人と同じ機材を揃えてプリセットを買うのが幸せかと思います。作る労力と時間を撮る方に使ったほうが健全かと。僕は好きだからやってますがね。

現像の速さの原因は「プリセット」なんですが、プリセットを使えばすぐ出来上がるというわけでもなくて、1枚1枚調整は必要です。プリセットはあくまで理想系になるまでの「近道」なので結局は調整必須なんですが、8割型それで完成するので速さに繋がるわけです。

あとはマインドの違いが大きいかと思っていて、僕は「鉄は熱いうちに打て」派です。できたら撮影した当日に1枚は必ず現像して満足のいく状態にして、次の日からも現像している期間だというマインドにしています。後でいいやーとか次の案件終わってから一緒にやろうとか思っていると、まぁまず遅くなるかやらなくなってしまうのは想像がやすいのでやってるわけなんですが、たまに「現像が溜まってて」みたいな人もいるので、撮る回数が多すぎるのかなぁと思っています。これは仕方ないですよね。

被写体さんとの話の中で、当日に数枚きてその後全くきてなくて言いにくいみたいなケースも聞いたので、マインド的に夏休みの宿題最後にやると言いつつ結局やらないタイプの人なんだろうなぁとおもてます。

ポートレートというのは、趣味ですが、労働に近いものがあります。その対価が写真で結局はそれ早くいただきたいという気持ちが大前提かなと思います。なんで最低でもその月の中では振込いただきたいですよね(